CHARACTER キャラクター紹介

ナツキ・スバル

「俺が必ず――お前を救ってみせる!」

無知無能。無力無謀。四拍子欠けた、物語の主人公。
現代日本から突如として異世界に招かれ、わけのわからない状況に翻弄される高校生。
物怖じしない性質と持ち前の図々しさで、逆境に弱音を吐きつつ抗う性格の持ち主。
初異世界の初王都で早々に訪れた命の危機を少女に救われ、恩を返す名目で一緒に行動する。
探し物をする少女と二人、王都の深部に辿り着いたとき――彼の本当の異世界生活が幕を上げる。

エミリア

「もう……スバルのオタンコナス!」

王都でスバルと出会った、銀髪に紫紺の瞳の美しい少女。
お人好しで面倒見の良い性格だが、当人はなぜかそれを素直に認めようとしない。
家族同然の猫精霊であるパックをお供に連れており、彼の前でだけ甘えた表情を見せる。
探し物の最中にスバルと遭遇し、なし崩しに頼りのないスバルと同行することに。
彼女と二人、広い王都を並んで歩き出すところから物語は始まる。

パック

「ボクの名前はパック。名前だけでも覚えて逝ってね」

灰色の体毛、まん丸の瞳にピンク色の鼻をした、掌に乗るサイズの二足歩行の小猫。
体長と同じぐらい長い尻尾を揺らし、長閑なマイペースさを崩さない精霊。
銀髪の少女と同行し、彼女の行動に口出ししたりしなかったり、保護者目線で付き合っている。
少女を娘同然に思っており、スバルに対しては口撃が厳しかったりする一面も。
なお、朝の九時から夕方五時が基本的な勤務時間。働くお父さんと一緒である。

フェルト

「アタシ忙しいんだ! 強く生きてくれ!」

くすんだ金髪に勝気な赤い目、尖った八重歯がチャームポイントの浮浪女児。
王都の貧民街育ちで、幼さに見合わないタフで強かな性格の持ち主。
主にスリや盗難を生業にしており、盗品蔵という建物に日常的に出入りしている。
金にがめつく、上昇志向の強い少女だが、その反面、情の強いところもあり。
何やら追われているようであり、猫のようなはしっこさで王都を逃げ回っている。

ラインハルト

「――そこまでだ」

燃えるような赤毛に、空を映したような澄みきった青い瞳を持つ美青年。
洗練された仕草に、言動一つ一つが他者への思いやりに満ちた完璧超人。
『剣聖』と呼ばれる騎士の中の騎士であり、王都でも知らぬものがいない有名人。
普段は王城で近衛隊に所属しているが、この日は非番で王都を散策している。
普段から休日でも、市井の人々のために力を尽くす青年が、この日に目にしたものは――。

エルザ

「ああ、今のはとても、感じたわ」

異世界では珍しい黒髪を長く伸ばした、艶めいた雰囲気をまとう美女。
グラマラスな肢体を大胆な衣装に包み、惜しげもなく周囲に艶然とした態度を振りまいている。
ただ、おっとりとした顔つきと穏やかな口調と裏腹に、瞳の奥には商売女とは一線を画した闇を孕んでいる。
何やら盗品蔵に用があり、そこでフェルトと落ち合う約束を交わしているらしい。

ロム爺

「やっかましいわぁ! 合図と合言葉も知らんで、扉をぶっ壊す気か!!」

2メートルを超す筋骨隆々な巨体を持つ、巨人族の老人。
王都の貧民街で、盗品蔵と呼ばれる建物を仕切っている顔役の一人。
強面の見た目に反して面倒見のいい人物であり、他人に親身になりすぎるきらいもある。
盗品蔵によく出入りするフェルトを孫のように可愛がっており、彼女にとっては家族同然の付き合い。
この日も、フェルトから持ち込むと聞かされていた、『さる品物』を鑑定するためにフェルトを待っている。

カドモン

「で、お客さん、リンガは?」

屈強な体格と厳つい顔つき、顔面に白い刀傷が入った典型的な武闘派――の皮をかぶった商売人。
強面に精いっぱいの商いスマイルを浮かべる姿は、いっそ哀愁を誘うほどに客足を遠のかせている。
異世界において、スバルが初めて対話を持った人物であり、その後もたびたび顔を合わせることになる。
美人の嫁と可愛い盛りの娘を持った、働くお父さんである。
彼がなぜ、天職とはいえない果物屋として汗水流して働いているのか――それは本編には関係がない。

ラム

「何を隠そう、ラムの得意料理は蒸かし芋よ」

怪我をしたスバルが運び込まれた屋敷、ロズワール邸で働く双子メイドの姉。
傲岸不遜な毒舌担当。炊事洗濯裁縫掃除、全てにおいて妹に劣るステータスの持ち主。
目つきがきつく、言動がきつく、教育方針もスパルタとその筋にはたまらない性格。
主であるロズワールに心酔しており、基本的にロズワールと妹のレム以外には心を開かない。
屋敷で働くことになるスバルの教育係を担当し、今日も言葉の毒で不出来な主人公をイジメ抜く。

レム

「姉様は素敵でしょう」

名誉の負傷をしたスバルが担ぎ込まれた屋敷で、雑務全般を一手に担う双子メイドの妹。
慇懃無礼な毒舌担当。屋敷の機能が維持されているのは、彼女の有能さが全てといっていい。
目つき穏やかで、優しく皮肉り、敬愛する姉以外へは営業用スマイルすらなかなか見せない。
姉を起こし、着替えさせ、髪と爪と肌を手入れし、姉と一緒に働く環境に幸せを感じている。
最近の悩みは新しい使用人の騒がしさと、胸が大きくなり始めて姉と服のサイズが合わないこと。

ベアトリス

「……なんて、心の底から腹立たしい奴なのかしら」

ロズワール邸にて『扉渡り』で隠された部屋、禁書庫の司書を務める幼い少女。
愛らしい容姿と豪華なドレスで、まるで妖精のような印象を見るものに与える。
が、基本的に不機嫌で尊大で人間嫌い。精霊であるパックを「にーちゃ」と呼んで慕っている。
スバルとは初対面からお互いに印象最悪であり、なのに馬が合ってしまう不幸な関係。
普段から禁書庫にこもり、部屋の中で一人、誰かを待つように脚立に座っている。

ロズワール

「君は私になーぁにを望むのかな?」

ルグニカ王国貴族で、辺境伯の立場にある有力者。
王国有数の魔法使いでもあり、王城では筆頭宮廷魔導士としても知られる人物。
その立派な肩書きと溢れる才能を、奇行奇言と道化のメイクで台無しにする変わり者。
好んで顔を白く塗り、ピエロの化粧と他人をおちょくる言動で事態を掻き回す変人。
付いた渾名が『亜人趣味』である彼と、エミリアの関係性やいかに。

プリシラ・バーリエル

「世界は妾にとって都合の良いようにできておる」

王都で悪漢に絡まれていたところを、スバルに救われた美貌の少女。
傲岸不遜な態度と、大胆不敵な行動と、唯我独尊の覇道を謳う人物でもある。
『血染めの花嫁』と呼ばれる、ルグニカ王国次代王位の候補者の一人。
奇抜な衣装のアルを騎士とし、全てを見下す微笑をたたえて王選に臨んでいる。
挫折を知らない豪運の持ち主であり、脅威の胸囲の持ち主でもある。

アル

「だいぶアッパー入ってんな。いい感じだぜ、姫さん」

漆黒のフルヘルムで頭部を覆い、首から下を山賊風ファッションに包んだ隻腕の男。
屈強な肉体に歴戦を感じさせる立ち振舞いだが、飄々と軽薄な態度の目立つ変人。
戦闘力より、その奇抜な格好や発言を気に入られてプリシラの騎士となった変わり種。
はぐれた主人を探して王都をさまよっていたところ、エミリアのお節介の餌食に。
初めて会ったばかりのスバルに馴れ馴れしく接する、彼の素性は謎に包まれている。

クルシュ・カルステン

「問おう。恥ずかしいとは思わないのかと」

ルグニカ王国カルステン公爵家当主の肩書きを持つ男装の麗人。
自分にも他者にも厳しい姿勢と、正しくあることを追及する人物。
生まれながらに人の上に立つカリスマを持ち、若くして当主を継いだ才媛。
ルグニカ王国の次代の王を決める王選の候補者であり、最有力候補。
騎士はフェリス。付き合いは幼少の頃からで、強い信頼関係にある。

フェリス

「んふー、恥ずかしがっちゃってきゃーわゆい」

フリフリの衣装に愛らしい仕草、そして頭には柔らかなネコミミ。
挙動や言動の端々に『狙っている』感があるが、それがやけに似合う。
王選候補であるクルシュの騎士であり、王都でも随一の治癒魔法の使い手。
長い付き合いであるクルシュへの忠誠心は、王選ペアの中でも特に強い。
そのわりに天然の気がある主に嘘を教えて遊ぶ癖がある。さすがフェリスあざとい。

ヴィルヘルム

「いえ、可憐さでも妻の方が上のはずです」

ロズワール邸へ王選の使者を連れてきた御者の老人。
愛妻家であり、その惚気はスバルさえもたじろがせるほどストレート。
鍛え上げられた肉体と、身にまとう覇気は常人のものではない。
クルシュの部下として彼女に与しており、王選の一端に関わっている。
さる近衛騎士の一人と、何やら関係がある人物のようだが――。

アナスタシア・ホーシン

「安心して、ウチのものになってくれてええよ?」

薄紫の柔らかな髪と、顔立ちに幼さを残した白いドレスが可憐な少女。
隣国カララギの大商会を率いる若き商人であり、ルグニカ王国王位候補者の一人。
果てなき強欲と向上心の持ち主であり、王国を手中に収めるために王選に参加した。
『最優』とされる騎士ユリウスを連れ、己の才覚だけで王位に上り詰めることを狙う。
私兵として傭兵団を保有しているが、傭兵団の人選には彼女の趣味が反映されている。

ユリウス・ユークリウス

「君はあの方に、相応しくない」

整った顔立ちに優雅な振舞い、高貴な生まれに確かな地位を持つ優れた騎士。
近衛騎士団に所属し、数ある騎士の中でも『最優の騎士』とされる優秀な人物。
剣技・魔法の技量に優れ、他の騎士たちの信頼も厚い、王国に忠節を誓う美丈夫。
アナスタシアの騎士となり、王選へ臨む主や相争う他の候補者に敬意を払っている。
ただし、王国の剣を自任する彼の意思は、立場を弁えない身の程知らずに容赦しない。

ペテルギウス・ロマネコンティ

「アナタ、怠惰デスね?」

こけた頬に血色の悪い肌、それなのに双眸だけは狂気的にぎらつかせた男。
世界的に悪名高い集団、魔女教に所属する幹部、大罪司教『怠惰』担当。
『嫉妬の魔女』を信奉し、その存在の寵愛に報いることを至上の目的とする狂人。
勤勉であることを美徳、怠惰であることを悪徳とする信念を持つ人物で、
その信念に従い、勤勉に寵愛に報いるため、幾度もスバルの前に立ち塞がる。

ミミ、ヘータロー、ティビー、パールバトン三姉弟

「ミミなのだー!」「お姉ちゃん可愛い……」「やれやれです」

奔放なミミ、大人しめなヘータロー、理知的なティビーの子猫獣人三姉弟。
王選候補者であるアナスタシアの私兵団、『鉄の牙』に所属する三人副団長。
基本的には長女のミミを、弟二人が甘やかし、褒めて育てる方針の姉弟仲。
愛らしい外見に反し、その戦闘力は高く、傭兵団の副団長の座は飾りではない。
ただし、オフのときはアナスタシアのモフリストの趣味に付き合わされている。

リカード・ウェルキン

「お嬢友達おらんねん! 今やったらちょろいで、ホンマやぞ!」

声と体格と気持ちの大きい、犬人の獣人。カララギ弁で元気よく喋る。
王選候補者であるアナスタシアと旧知の関係で、彼女の私兵団の団長を務める。
見た目通りの豪快な性格と戦い方の人物で、その実力は近衛騎士も一目置くほど。
アナスタシアとの付き合いは家族同然で、互いに認めないが父と娘のようなもの。
主人である彼女の大望に協力するため、今日も大声で笑いながら彼女に尽くしている。

オットー・スーウェン

「話の早い人、嫌いじゃありませんよ、ナツキさん」

それなりに整った顔立ちに、機転の利く頭と加護に恵まれ、運に見放された青年。
旅の行商人であり、商人としての才覚はあるものの、致命的に運に恵まれない。
リーファウス街道の移動中、ふと耳にした儲け話に飛び付き、彼の受難は始まる。
ただ、その受難が本当に単なる不運で終わるか、逆転の兆しになるかは彼次第。
天性のいじられ体質であり、今日もスバルからのあんまりな扱いに声高に突っ込む。

パトラッシュ

「――――(嘆息)」

人の足として乗用される地竜、その中でも優秀なことで知られるダイアナ種の一頭。
元はクルシュの屋敷で重用されていたが、白鯨戦を機にスバルの愛竜となった。
言葉こそ交わせないものの、人の言葉を理解している節があり、非常に賢い。
出会ったばかりのスバルへの忠節、というより保護愛が強く、幾度も危機を救っている。
なお、性別は雌であり、オットー曰く「スバルは目が離せませんわ」などと話している。

フレデリカ・バウマン

「わたくしのことは姉様と呼ぶように。このお屋敷の伝統ですのよ」

女性にしては身長が高く、澄んだ翠の瞳を持った美女――ただし、牙を隠せばの話。
ロズワール邸で働いていたメイドであり、このほど、そのお役目に復帰した。
亜人の血を引く女性で、鋭い牙はその影響。コンプレックスなので、手で隠して微笑む。
ラムやレムの先輩メイドにあたり、ロズワールへの忠誠心と能力の高さは折り紙つき。
年下を可愛がるのが趣味で、最近は新米メイドのペトラの教育にご執心。

ガーフィール・ティンゼル

「ハッ! 笑わッせんじゃァねェよ。『目の中のザグレー』ってなァ!」

凶悪な目つきに鋭い牙、その外見の印象を裏切らない短気で野蛮な性格の青年。
メイザース領にある隠れ里、『クレマルディの聖域』で暮らす顔役の一人。
特徴的な喋り方と、多用する謎の慣用句で、ちょくちょくスバルを翻弄する。
ロズワールらとは付き合いが長く、特にラムに対して積極的に粉をかけている。
その性格に見合った実力の持ち主で、数百キロの竜車をも軽々と投げ飛ばす。

リューズ・ビルマ

「ワシはリューズ・ビルマ、見ての通りの老いぼれですじゃ」

外見年齢11、2歳でありながら、おかしなほど老成した態度の人物。
『クレマルディの聖域』の代表であり、ガーフィールとも長く深い付き合いがある。
よくよく年寄りぶって周囲を困惑させるが、実際、『聖域』の最古参である。
ロズワールの庇護を受けて暮らしているが、それだけの関係性ではないらしい。
長い耳、長寿、美形と条件が揃っているが、自らの素性を打ち明けることはしない。

エキドナ

「ボクの名前はエキドナ。『強欲の魔女』と名乗った方が通りがいいかな?」

白い髪、白い肌、黒い瞳、黒い服、たった二色で表現し切れる美しい魔女。
『嫉妬の魔女』に滅ぼされた大罪の名を冠する六人の魔女の一人で、とっくに故人。
自らを知識欲の権化と称し、あらゆる事象を知りたがる変わり者とスバルに名乗る。
『聖域』のとある場所で茶会を開き、知識を求めるものに応えるとされる。
ただし、生半可な気持ちで『魔女』の前に立つことは、愚かなことと覚悟するべし。

ペトラ・レイテ

「わたし、もう子どもじゃありません。立派な大人として扱ってください」

ロズワール邸の近くにある、アーラム村で暮らしていた村一番の美少女。
愛くるしい顔に利発な頭、何事も器用にこなし、飲み込みの早い才能豊かな女の子。
募集に応じて立候補し、ロズワール邸の新人メイドとして屋敷で雇われることに。
子どもらしさとらしからぬ性質をうまく使い、先輩メイドに可愛がられている。
最近は目つきの悪い黒髪の青年にご執心だが、肝心の青年には妹扱いされている。